日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年10月18日意見が対立した場合の解決法とは?


★意見が食い違うことはよくある


私たちは、日常、人と意見が異なって対立することがよくあります。

仕事上のことで職場の同僚やお取引先と意見が違ったりすることはしょっちゅうありますし、夫婦、友人同士などのプライベートでも頻繁にあります。

仕事にせよプライベートにせよ、対立はできるだけ早期に解消して前に進みたいものです。

しかし、意見が対立するとなかなか出口が見えず、時間だけが過ぎていき、結局たいした結論は出なかったということも少なくありません。


★相手の話をきちんと聴く


私たちは意見が対立すると、少なからず感情的になり、自分の意見や考えにしがみつくようになります。

そして、相手に対してネガティブな気持ちを持ってしまいます。

こうなると、相手が何か言うたびに言い返してしまい、お互いに妥協できない状況に陥ってしまいます。

しかし、こうした場合に相手の話をきちんと聴いてみると対立が解消することがあります。

 

例えば、夫婦の間で子供部屋が必要かどうかで意見が対立しているとします。

妻「子供が一人で静かに勉強するには自分の部屋が必要よ」
夫「自分の部屋があると遊んでばかりいて勉強なんかするはずない。親の目があるリビングの方が勉強ははかどるはずだよ」
妻「ダメよ! 私たちがそばにいると勉強に集中できないじゃない」
夫「私たちも本を読んだりして静かにしていれば問題ないよ」
妻「そんなこと無理よ!」

この夫婦はお互いの意見にしがみついて、自分の考えばかり話しています。
相手の話を聴いているように見えますが、実際は全く聴いていません。

しかし、相手の話を聴いて理解しようとすれば、違う展開が期待できそうです。

妻「子供が一人で静かに勉強するには自分の部屋が必要よ」
夫「勉強するには静かな環境が必要だと思っているんだね」
妻「そう。リビングだとテレビの音や話し声が聞こえて、勉強に集中できないでしょ」
夫「確かにそんな中では勉強には集中できないね。でも、子供部屋を作るなら今の家から引っ越さないといけないなぁ」
妻「そうなのよね。今の家は気に入っているし、できればこのまま住みたいけど・・・」
夫「例えば、子供がリビングで勉強している時間は、テレビはつけない、静かに家事をしたり本を読んだりして会話も控える、というルールにしたらどうかな」

このように、相手の話を聴いて理解を示すことで、お互いが納得できる解決策が見つかる可能性が出てきます。

意見が対立した場合は、少なくとも感情的な対立は避けねばなりません。

そのためには、相手の話を聴いて共感を示しながら話を進めることが有効です。


★会議における意見対立


上の例は家庭内でのことでしたが、次に、会社の会議での意見対立について考えてみましょう。

この例では、新人研修の企画会議を想定しています。

Aさん:今年はホテルに宿泊して3日間、しっかりと学んでもらいたいです。
Bさん:いやいや、ホテルを3日間も借りたら予算オーバーになっちゃうよ。
Aさん:でも、今の新人にはそれくらいの時間をかけて学ばせることが必要です。
Bさん:そんな必要ないよ。それに業務に支障が出て現場が大変なことになるよ。
Cさん:Bさんの言うとおりだと思うよ。研修は1日で十分じゃないかな。

BさんもCさんも、Aさんがホテルで3日間の研修をしよう、という提案に反対しています。

しかし、Aさんの発言の裏には次のような気持ちがあったとしたらどうでしょうか?

「今の新人は上司からの指示で動く『指示待ち』人間が多い。
これでは自分で考えて動く社員が育たず、我が社は時代の変化について行けなくなる。
自分で考えて動く社員を増やすためには、まず新人に自分で考えるスキルを身につけさせるべきだ。
そのために徹底的なトレーニングをする必要があり、研修はぜひ3日間かけて行いたい」

ホテルで3日間という手段はともかく、Aさんの考えていることには、Bさん、Cさんも賛同することでしょう。

そして、その目的に沿った、より有効な策を一緒に考えられるかも知れません。

しかし、BさんもCさんも、このAさんの真意を確認しようとせず、Aさんの案に反対するばかりです。



★相手の真意を汲み取る


このような会議になった原因は、BさんもCさんもホテルで3日間の研修という手段がよいかどうかに焦点を当てて考えているからです。

人は、こうすればいい、という手段を考えるのがとても好きです。

実際、Aさんも、こういうことをしてはどうか、という手段の話しかしていませんし、BさんやCさんも、その手段がよいか悪いかという反応しか示していません。

このように、人はついつい手段に意識を向けてしまうのです。

しかし、Aさんが研修案を述べたときに、BさんかCさんのどちらかがAさんに、「どうして、ホテルで3日間もかけて研修をせねばならないと思っているの?」とAさんの真意を確認すれば、この会議は建設的なものになったことでしょう。

このように、お互いに相手の真意を汲み取ろうという姿勢を持って話をすることで、無用な対立は避けられます。



このことは、上の夫婦の会話の例にも当てはまります。

夫が妻の話を聴いて『子供部屋を作るかどうか』という手段ではなく、『静かに勉強する環境を整えたい』という妻の気持ちに焦点を合わせたから話が噛み合ったのです。

 

仕事でもプライベートでも、意見が対立した場合は、ぜひお互いの真意を確認することに留意してください。

そのために、相手の話をきちんと聴くことを意識してみてください。
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